〜9〜

葉琉は周りを見回した。

眩しくて何もみえねぇ。

すると、向こうの方に人影のような物が見えた。

葉琉はその影に向かって走った。

どの位の時間が経っただろうか。葉琉はまだ走り続けていた。

おかしい、もうとっくにあの影に追いついてもいいはずなのに。

すると、急にその影が近くなって、もう葉琉の目の前まで来ていた。

影の正体は人だった。

「あのぉ、すいません。ここどこですかね?」

すると、その人は葉琉の方に振り向き、不思議そうな顔をしている。

あ!女の人だ。

「何を言ってるの?ここは時空管理局の時空エレベーターの中よ?

・・・・・・あ!あなた新入りさんね!ひょっとして迷ったの?」

「・・・・・い、いや別に」

「いいのよ。気にしなくて。私も新人の時は良く迷ったもんだわぁ」

「いや、だから・・・・違うって・・・」

「あ!わかった!更衣室を探しているのね。大丈夫よ。私が案内してあげる!」

女の人はニコニコ笑顔で葉琉の手をズイズイ引っ張って行く。

この女、人の話全然聞いてねぇ。つうか、新入りってなんだよ!新入りって!

しかも、時空管理局なんてこの時代にあったか?そんなこともうどうでもいいけど、

この女俺をどこに連れて行く気?確か更衣室って言ってたような・・・・。

なんか嫌な予感がする・・・・。

「あ!そういえば、まだ私の名前言ってなかったわね。」

「は、はぁ」

あんたの名前なんてどうでもいいよ!

「私の名前はヒカリ・アネバッシュ。よろしくね。新入りさん!」

「は、はぁ」

だからどうでもいいって。もう、誰かこの女を止めてくれ!

「さぁ、着いたわよ!」

葉琉はふと表示してある文字を見た。

・・・・・・・・・女子更衣室!?

「さぁ、待っててあげるからこれに早く着替えてらっしゃい!」

そして、葉琉は無理やり“女子更衣室”に入れられた。

まじかよぉ。幸い更衣室には葉琉以外誰もいないようだった。

葉琉は仕方なく着替えることにした。

・・・・・ん?この服・・・女物じゃねぇか!こんなもん着れっかよ!

ヒカリから受け取った服はなんと、どう見ても女物で、したはミニスカートだった。

これを着れって言うのかよ・・・・。

「まだ?早くしてね!」

着るかどうか迷っている葉琉に追い討ちをかけるようにヒカリが言った。

ねぇ?これっていじめ?あの女俺に恨みでもあるわけ?

・・・・・・・くそっ!・・・あぁぁぁ!もう!こうなったらやけくそだ!

・・・・一回文化祭で無理やり女装させられたことあるし・・・・

葉琉は自分の女顔を呪った。




 宝物  ホーム