〜1〜
どうしてみんな変に思わないのだろう。男が女の服着てるんだぞ!
てか、この女気付けよ!俺が男だって!
葉琉は周りを見回した。みんな葉琉に見惚れていた。さらに激しい奴は葉琉達の後ろをついてきている。
き、気持ち悪っ!どう見ても俺は男ですよぉ!ねぇ、これは俺に対するいじめですか?
葉琉は深く溜息をついた。
つうかさぁ、俺も女装してんじゃねぇよ!
葉琉は自分で突っ込みしながら思いっきり叫びたくなったが、ここは取り合えず抑えておく事にした。
「着いたわよ!中に入ったらまず自己紹介ね!」
だ・か・らこの女は誰と俺を間違ってんだ!きっと俺と間違えられた奴は女の子なんだろう。
まあ取り合えず中に入って“俺は違います!男です”って言えばいいか!
葉琉の頭の中では着々と計画が練られていった。
葉琉はヒカリに引っ張られて中へ入っていった。
「館長!新人の子をつれてきましたよ〜!」
ヒカリの顔はさっきまでとは打って変わってスーパーを通り越す位の笑顔である。
葉琉は周りを見回した。
そこは部屋というよりコンピューターがずらっと並んだロビーというにふさわしい所で中央には恐ろしくでかいモニターがあった。
ヒカリは肘で葉琉に合図してきた。
きたっ!これで間違えだって明かすことが出来る!
葉琉は張り切ってヒカリより一歩前へ出た。
「あの〜、実は――――」
すると急に恐ろしくでかいモニターに映像が映しだされた。
『こちら第二番部隊隊長 飛鳥。そちらへ時空移動を行いたい。館長、許可をお願いします!』
「飛鳥隊長あなたは今201]年で任務中なのでは?」
『その通りです。しかし、ちょっとトラブルがありまして。
・・・・そちらの許可を取らずに時空移動でそちらへ向かわせた者がいまして・・・。』
「・・・ハァ、あなたはまたですか。仕方ないですねぇ。分かりました。
許可しましょう。ユノ、ゲートを開けてちょうだい。」
「はいっ」
『いつもすいません。ありがとうございます。』
そして、映像は消えた。
・・・・・・・い、今のは・・・飛鳥?え??うそ?何で??
葉琉は今自分がどういう状況にいるかも忘れて叫んでしまった。
「はぁ?何で飛鳥が隊長?はぁ?あり得ないし!他にもっといい奴いただろうに。
って違う!何だよ第二番隊長≠チて。ということは十番隊くらいまであるわけ?
ってこれは置いといて。もうここはどこなんだよ!201]年で任務ってどういうことだよ!
え?え?待てよ、今は201]年じゃないの?は?え?は?」
葉琉が混乱して叫んでいると、ヒカリが突っ込んできた。
「あなた何言ってるの?さっきも言ったでしょう。ここは“時空管理局”。
それから今は30]]年よ!そんなことも知らないの?あなたやばいんじゃないの?
医務室で調べてもらった方がいいわよ!私も一緒に行ってあげるから医務室へ行きましょ!」
「はあ?俺はどっこも悪くねぇよ!」
「つべこべ言わずさっさと行くわよ!」
出た!この女の特技の一つ(葉琉が勝手に決めた)人の話を聞かない。
葉琉は無理やり引っ張られてる腕を一生懸命離そうとした。
するとその時
「そいつはどっこも悪くねぇよ!」
「!!あっ飛鳥隊長!!」
ヒカリは葉琉の腕を離し急いで敬礼をした。
「そんなことしなくていいっていつも言ってるのに」
「そんな訳にはいきません!」
「はぁ、だからぁ俺がそんなことされるのが嫌いなんだよ!わかった?」
「そっそうなんですか?!すみません!全然知らなくって!」
「いいよ、別に。それより葉琉」
飛鳥は葉琉を見た。
なんだ?なんだ?いきなり!
「なんだよ」
「お前ケガは・・・無さそうだな。まぁ、あれだけ叫ぶことが出来てたら大丈夫か!
それにしても、さっきの葉琉の叫びはすごかったなぁ。どこの怪獣が叫んでんのかと思ったよ!」
飛鳥はニコニコしながら言った。
「俺は怪獣じゃねぇ!!てかお前隊長ってどういうことだよ!しかもここ201]年じゃないって!どういうこと??」
「まあ、そこら辺は後で話す・・・それより・・・お前そんな趣味があったのか。まぁ似あってるからいいけどさぁ」
「違ーう!!俺が自分から着たんじゃない!!この女が!」
葉琉はヒカリを指差した。
「何言ってるの?あなた女の子でしょ!この制服のどこが気に入らないのよ!!」
「あぁぁもう!どいつもこいつも!どっからどう見ても俺はおもごもごも」
葉琉は後ろから飛鳥に口を抑えられた。
「葉琉は女の子だよなぁ」
ハァ?何言っちゃってんのこいつ!
すると葉琉の口から手が離れた。
「もう葉琉、いっつも言ってるだろ。言葉使いには気をつけろって」
「はぁ?またかよ!だいたいお前は―――――」
「お取り込み中ごめんなさいね。いくら待っても終わりそうになかったから。初めまして。
私は館長のユーランです。ところで飛鳥隊長。その葉琉って子は隊長の・・・」
「親ゆ――」
「婚約者です」
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