〜8〜
ピピピッピピピピピッピピピ カチッ
「・・・・頭痛てぇ・・・・・・・ハッ!飛鳥!大丈夫か!
・・・・って・・・・あれ?・・・・ここは・・・・俺の家?」
葉琉は部屋を見て回った。
「あれ?俺さっきまで飛鳥と一緒に学校にいて、事件が起きて、みんなが消えて・・・・
そんでもって、飛鳥の様子がおかしくなって、変だなぁって思いながら立とうとしたら、頭が半端なく痛くなって、
でもって・・・・??あれ?それからどうしたんだっけ?何で俺家に帰ってんの?
しかも、いつ寝間着に着替えたの?・・・・・・・・・・・・・
あ!そっか!さっきまで俺夢見てたんだなきっと。それにしてもやけにリアルだったなぁ、あの夢
・・・・・夢?・・・・・まぁいっか!」
葉琉はいつも通りに朝の家事を始めた。
やっぱりあれは夢だったんだ。
あんなの夢じゃなかったら俺今ここにいないよなぁ、きっと。
ふと、葉琉は時計を見た。
「げっ!八時じゃん!!遅刻する!!」
葉琉は急いで部屋に戻ろうとした。すると、
「痛て!!」
葉琉は足の小指を思いっきり何かの角にぶつけた。
なんなんだよ!もう!葉琉は目に涙を浮かべながら足元を見た。
「・・・え!?これあの夢に出てきた箱じゃん!・・・え?でもなんで?え?え?」
足元にあった物は、葉琉が見た夢の中に出てきた箱だった。
え?じゃあ、あれは夢じゃない?
葉琉の頭の中は今にも爆発しそうだった。
「まっさかぁ。そんなわけないよなぁ」
違う、これは夢に出てきた箱なんかじゃない!そうだ、俺はまだ夢を見てるんだ!そうだよ、きっと!
葉琉は自分の頬を思いっきりつねった。
「いてっ!!」
葉琉はあまりの痛さに半泣き状態になった。
・・・・い、痛い。痛いのに目が覚めない・・・・・・
「これって現実?・・・・え?でもさっき見てたのは夢?だから・・・
でもここに夢の中に出てきた箱があるわけで・・・・てことは・・・・全部現実?!」
葉琉はパニック状態になって、急に分けの分からない踊りを無意識のうちに踊りだしていた。
落ち着け、落ち着くんだ葉琉。冷静に考えるんだ。
葉琉は心を落ち着かせようとした、が、ふと飛鳥の顔が浮かんできた。
「・・・・そういえば、あの夢が現実なら飛鳥は?
あいつはどうなったんだ?・・・・・・いてっ!ま頭痛が・・・・」
葉琉が思い出そうとすると、邪魔するように激しい頭痛が葉琉をおそった。
なんなんだ?この頭痛は!そういえば、あの時も頭痛がしてそれで俺・・・・・
あれ?それからどうしたっけ?
「・・・・・・あぁぁぁぁぁぁぁ!!!思い出せねぇ!なんでだよ!」
ドカッ
「いってぇ!!」
葉琉は足元に置いたままの箱を蹴飛ばした拍子にまた、足の小指をぶつけた。
あまりの痛さに葉琉は叫んだ。
俺って学習力ねぇ・・・・・ん?この箱の宛名って俺?
葉琉は恐る恐る箱を開けた。
「・・・・・なんだ?これ?」
箱の中には数え切れないほどの量のコード、何かのチップのような部品、そして本体のような丸い物体が入っていた。
葉琉は機械いじりが好きな性格なので早速組み立てる事にした。
「へへっちょろいちょろい!」
葉琉は十分足らずで作り終えた。
「なんか変な形してんな、この機械。・・・・・・まぁいっか、じゃあ早速使ってみるか!」
ピーンポーン
葉琉が機械を動かそうとした時玄関のチャイムがなった。
「誰だよぉ、こんな時に!」
葉琉は不貞腐れながらインターホンで出た。
「どちら様ですか?」
「俺だよ!葉琉!飛鳥だよ!話があるんだ!」
飛鳥は焦っている様子だった。なんだなんだ?焦っちゃって。
つうか俺、こいつのことすっかり忘れてた。
「分かった、ちょっと待って。すぐ開ける!」
葉琉は急いで玄関に向かいドアを開けた。
すると、葉琉がさっき組み立てた機械が置いてある部屋の方から急に真っ白い光が射し、葉琉を包み込んだ。
「葉琉!早くこっちへ来い!!」
「飛鳥―――――」
そして、葉琉は光の中へ消えていった。
「くそっ!遅かったか!もっと早く俺がここへ来ていれば・・・・・・
もう仕方ない!葉琉にばれてもいい。
きっと話せばあいつも分かってくれるだろう。よし!行くか!」
飛鳥は走ってどこかへ消えて行った。
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