〜7〜
最悪だ。
今日が人生で一番最悪な日だ!
今まで誰にも泣いてるとこなんか見せたことなかったのに、よりにもよって飛鳥に見られるとは・・・・・・・・・。
葉琉は、座り込んで顔を伏せていた。
葉琉は飛鳥を睨んだ。
「おいおい、睨むなよ。俺は何もしてねえだろ。」
そうですよ。お前は何もしてないさ!
俺が一人で泣き喚いてただけさ!
葉琉は真っ赤になった目を擦りながら不貞腐れた。
「でもさぁ、いつも泣かない葉琉があそこまで泣き虫だったとはねぇ。」
飛鳥はニコニコしながら葉琉を見た。
・・・・・・・・正直、気持ち悪い。
「悪かったなぁ!俺はどうせ泣き虫だよ!悪いか!」
さらに葉琉は不貞腐れた。
いつか絶対仕返ししてやる!
「まあまあ、いじけなさんなって!ところで、お前が泣くくらいなら相当醜かったんだろ?で、教室で何があったんだ?」
「それが・・・・・―――――――」
葉琉は飛鳥に教室で怒った出来事を話した。
葉琉は、飛鳥が葉琉のお話を聞いて驚くかと思っていた。
しかし、飛鳥は全然全く驚いた様子を見せない。
ただ、黙り込んで、葉琉の話を真剣に聞いていた。
こいつが黙ると調子が狂う。
葉琉が全てを話し終わった途端、飛鳥が急に葉琉に何かを差し出してきた。
よく見れば何かのバッチのような物だった。
「なんだ?これは。また、変なの拾ってきたの?それだったら遠慮しとくよ!」
「お前なぁ、それじゃ俺がいつも落ちてるもん拾ってお前にあげてるみたいじゃないか。」
「え?だってそうじゃん。俺の誕生日プレゼントとか?」
「・・・・・それはそうだけど・・・・ってちがぁぁぁう!!お前にあげてる物はちゃんと店で買ってるよ!
俺がいつも拾ってるのは石だよ!い・しっ!」
「え?飛鳥って石マニアだったの!?俺全然知らなかったぁ」
飛鳥は石が好きだったのかぁ。
葉琉は、ここが事件が起きた建物の中だということを忘れたようにはしゃいでいた。
ダンッ――――――
後ろの方から壁を殴ったような音がした。
「もう!どうでもいいから、俺の話を聞けって!」
飛鳥が少し焦っているような口調で葉琉に叫び、真剣な表情で見てきた。
葉琉は、あまりに突然だったので少し驚いた。
なっなんだよ、急に。別に怒鳴らなくてもいいじゃんか!
「葉琉、今から言う事を絶対守ってくれ!いいか?」
「?・・・・・・・う、うん・・・・・」
「じゃあまず一つ目、そのバッチは絶対に肌身離さず持っておくこと。
二つ目、今から何が遭っても絶対に俺から離れるな!いいか?絶対この二つだけは守ってくれ!」
「・・・・・・・う、うん・・・・・・・でもどうしたんだ?急に」
「事情は後で説明するから、とにかくその二つだけは必ず守ってくれ!」
「・・・・・わ、分かった・・・・」
「じゃあいつまでもここに居たらまずい。葉琉、立てるか?」
飛鳥が手を差し伸べてきた。
「一人で立てるから・・・・女じゃないんだし」
本当は少し立ち上がるのもきついのに強がって葉琉は飛鳥の手を払った。
「・・・・・・そうか、ごめんごめん」
飛鳥は少し苦笑した。
「別に謝らなくていい!」
本当にどうしちゃったんだよ飛鳥。
今までこんなに気を遣うなんてことなかったのに。
なんかさっきから変だ!絶対おかしい。何か企んでるんじゃないのか?
葉琉は立ち上がろうとした。
しかしその時、
ズキッ
「って」
「?どうした葉琉、大丈夫か?」
「・・・あぁ、大丈夫・・・・って」
葉琉は頭を押さえてしゃがみこんだ。
なんなんだ?この痛みは。頭が割れそうだ・・・・
「おい!葉琉、大丈夫か?おい!葉琉!おぃ・・・!・・・・・ぃっ・・・」
・・・?飛鳥何て言ってんだ?・・・・よく聞こえない・・・・だんだん前が見えなく・・・なって・・・・
ドサッ
葉琉は床に倒れた。
「おいっ葉琉!しっかりしろ!おい!葉琉!」
飛鳥がいくら揺すっても葉琉は目を開けなかった。
「おいっ!葉琉、冗談はよせよ!おいっ!起きろって!葉琉!!」
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