〜5〜
葉琉と飛鳥は教室に仕方なく戻ることにした。
「・・・なぁ、葉琉・・・」
飛鳥が改まった様に突然口を開いた。
「な、なんだよ、急に改まって。」
「いや、あの、その・・・・・・」
「なんだよ、さっさと言えよ!」
葉琉が、そう言ったにも関わらず、飛鳥はまだモジモジして言おうとしない。
なんなんだ?早く言えばいいのに。何モジモジしてんだよ、気持ち悪い。
「あのさぁ、葉琉・・・・・・」
「だからなんだよ!」
すると、飛鳥が急に葉琉に顔をグイッと近づけてきた。
なななな何?急にどうした?葉琉の頭は混乱寸前だった。さらに飛鳥は、顔を近づけてくる。
えー?えー?どうしたんだよ!やっぱり頭のネジなくなったんじゃないの?葉琉の頭はパニクっていた。
「あのさぁ、葉琉お前いつからそんなに演技が上手くなったんだ?
涙流すなんて女優でも簡単にはいかないぞ!なぁんでだ?」
飛鳥はキラキラ輝かせた目で葉琉を見つめながら言った。
まるで、憧れのヒーローに質問している子供の様だ。
「な、なんでってあれは、そのあれだ!あれ!」
葉琉は、パニクって自分が何を言おうとしているのかさえ分からなくなっていた。
ちょっとこいつ近すぎないか?今の葉琉の頭には、そのことばかりしか浮かばない。
「あれってなんだよ!」
「だから、あれは、あれ!」
いいかげん、近いって。葉琉は飛鳥から離れようとした。
運良く教室の前まで来ていたので春は急いで教室に入った。
「ちょっと待て!おい!葉琉!」
誰が待ってやるか!お前みたいな奴を!
たく、顔が近すぎるって!葉琉は、ふと前を見た。
「!!・・・・・・・・・・・なっなっ・・・」
飛鳥は葉琉を追っかけて教室に入ってきた。
すると、葉琉の様子がおかしい事に気付く。
飛鳥は葉琉の向いている方向を見た。
「!!!!!」
二人は、驚きのあまり声が出なくなった。
次 宝物 ホーム