〜4〜
一時間サボった葉琉と飛鳥は、教室に戻ってすぐ教師に捉まった。
さらに最悪な事に、その教師は、うだうだとうるさい事で有名である。
「お前たちは授業をサボるなんていい度胸じゃないか?
あ?特に国原!お前は俺の教科で欠点取ったうえに、狭神まで連れ出してサボるなんて!お前は―――――」
「違うんです!」
葉琉は教師の言葉をさえぎるように言った。
そして葉琉は、教師の手を掴み、潤んだ目で、
「先生、違うんです!僕が、僕が国原君を連れ出したんです・・・・・
国原君は悪くないんです!全部僕が、僕が悪いんです!」
「・・・・・・本当か?」
教師は飛鳥の顔を見た。飛鳥はコクリと頷いた。
すると、教師は疑いの目で飛鳥を睨んだ。
まだ、疑ってんのかよ!こいつ!仕方ねえ、あれでいくか!
葉琉は、教師を自分の方へ向かせた。
「どうして先生は僕を信じてくれないんですか?」
葉琉は、目に涙を浮かべながら教師を見つめた。
「・・・・・うっ、それは・・・・・・・・」
「いいんですよ、先生。僕を信じてくれなくても。・・・・そのかわり、僕は今後一切全国模試を受けませんから。」
「な、何!」
「困りますよねえ?僕が受けないと!」
「うっ、それは・・・・・・・も、もういい!早く教室に戻れ!」
「はい!」
二人は一生懸命笑いを堪えていたため、口から出すのが精一杯だった。
教師は、その様子に気づかずに、悔しそうに足早に去っていった。
それを見届けた二人はついに吹き出してしまった。
『ブッププププッアハハハハハ』
「見たかよあの顔!ククク」
「あぁ、見た見た!いかすよなぁ、あの“それは困る”って顔!ククク」
「お前笑いすぎだって!クククク」
「お前も人のこと言えないだろ、クククク」
二人は、顔を見合わせた。
『ブッハハハハハハ!』
二人はまた、笑い始めた。
もうこうなったら止まらないようだ。
それから二人は五分ほど笑いが止まらなかった。
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