〜1〜
西暦201X年
葉琉は今一人暮らし同然のくらしをしている。
両親は結婚記念日が近いので海外旅行に三日前から出かけていた。
はぁ、警察官がそんなのん気でいいのか?葉琉は、そう思ったがあえて口には出さなかった。
なぜなら、親父がいなければ誰も葉琉の手柄を横取りする奴はいなくなるからだ。
両親が出かけて四日目の朝。
ピピピピッピピピピピッピピピッ カチッ
「ふぁ〜、寝み〜。朝飯作りたくね〜・・・・・・・・・・作ろう。」
葉琉は、うとうとしながらリビングへ向かった。
「まずは、カーテンをあけてと。」
葉琉はカーテンを開け、外を見た。
「今日も晴れか。よし!今日も洗濯日和だな!」
葉琉は、洗面所に向かい、顔を洗って、洗濯物を洗濯機に放り込んでスイッチを入れた。
そして葉琉は、キッチンに向かい調理を始めた。葉琉は一見料理など全然できないというより、
しないようにみえるのだが、実は超一流シェフなみの腕前である。
料理も出来上がり葉琉は一人で朝食を食べながらボソッと呟いた。
「・・・・・一人の食事って四日もやると淋しいもんだな・・・」
葉琉は、我に返って顔を真っ赤に染めた。
「なっ、何言ってんだ?俺。さっ、淋しいわけないだろ!」
葉琉は焦って一人ツッコミをいれながらも、きちんと後片付けをしていた。
それから、テキパキと洗濯物を干し、身支度をしていた。
“ピンポーン”
突然、玄関のチャイムがなった。葉琉は急いで玄関の向かった。
「はい、どちら様ですか?」
葉琉はドアを開けずに言った。もしかすると危険な奴かも知れないと思ったからだ。
「宅急便です。」
ドアの向こう側から聞こえた声は男の声で暗くどこか不気味な感じだった。
葉琉は恐る恐る玄関のドアを開けた。すると、男は抱えていたダンボールの箱を葉琉に押し付け、
急いでトラックに乗り帰っていった。
「・・・・・なんなんだ?今の・・・・??」
葉琉は呆然としていた。
「・・・まぁいっか、判子も押してないし、また、戻ってくるだろう。」
葉琉は、押し付けられたダンボール箱を持ってキッチンへ向かった。
ふと、葉琉は時計を見た。
「やべっ!8時過ぎてんじゃん!」
葉琉はダンボール箱を置き、急いで支度を済ませ、家を飛び出した。
“ジージッガガッジージーッ・・・・こちらLMO・・只今、ターゲットが家を出まし・・・ドサッ”
「ふっ、ちょろいちょろい!・・・・・・・葉琉は誰にも渡さない!」
葉琉は何も知らずただ、学校へ向けて走っている最中だった。
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