〜2〜
美季は目が覚めた。
この夢と同じ暖かくて気持ちいい春の日差しを浴びて、
私はいつの間にか机で、腕に顔をうずめてねむっていたみたいだ。
私の周りには、写真が私を彩るように散らばっていた。
私の大切な写真。実際に私が歩んできた過去の切り抜き。
和がいたことの証。
あれから、ってか私が病気になって早十五年。余命半年といわれていた、十歳の春。
けど、私は生きている。病気のせいで、余命半年といわれたのが嘘みたいに。
元気に成人式迎えたし、結婚もした。けど、その人は和じゃない。けど、私の大切な、愛しい人。
和は、私に希望と喜びを与えてくれた人は、そこに存在したという証を残してこの世を去った。
和も病気で、私と同じく余命半年だったそうだ。
けど、和は明るく生き生きしてた。どんな人たちよりも“生きてた”―――。
なのに、いなくなった。私の病気が奇跡的に治った涼しい秋の風が吹く日、
和はいなくなった。私に、手紙と、和のとってくれた写真だけ残して。
手紙には、『美季ありがとう。楽しかったよ。』とだけ書かれていた。
あまりにも短くて、あまりにも率直すぎる。
飾りっけのない言葉だけど、たくさんの、言いたいことが伝わりすぎて、胸が苦しかった。
そして、写真を見て私は泣いた。泣いて、泣いて、泣いた。
なぜなら、写真には和が写ってなかったから。
私は、治ったあの日から一生懸命に生きた。
和にくよくよしている私の姿を見せたくなかった。
だって、それは和を悲しませることだから。一生懸命生きた。
そして、大切な人を見つけて、結婚して、もうすぐ子供まで生まれます。
誕生まで一ヶ月です。なんだか、日記らしくなくなってきたなぁと思う今日このごろです。
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