忘れてしまうもの

僕は外を歩いている時に一つの小さな小さな、丸い丸い石を見つけた。

僕は何故かそれがとても愛おしく思えた。

だからそっと優しく拾い、大事に持って帰った。

部屋に入り、引き出しの中にしまおうとして、引き出しを開けてみた。

引き出しの中には、昔“大切”と思った沢山のモノがごちゃごちゃに入っていた。

だから僕は引き出しに入れずに机の上に、目のつくところにそっと置いた。

もう、その時に、そのモノに感じた“大切”な事を忘れたくなかったから。

その日、僕は引き出しの中のモノを、“大切”を思い出しながら整理した。




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